経営は科学か芸術か

 表題は(財)静岡経済研究所発行の中小企業のための特別情報№109著者【新将命】さんの中の内容です。【新将命】さんは、早稲田大学卒業後、シェル石油、日本コカコーラ勤務後ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)の代表取締役社長に就任、1990年(株)国際ビジネスブレインを設立、代表取締役に就任されました。著書も多くありビジネス界では著名な方でもあります。この冊子は会社経営の根本のところを押さえており、皆さんにも承知しておいて頂きたく、ここに私なりに抜粋して紹介します。
《 最初に世界のビジネスの歴史の中で最大の失敗物語を紹介します。会社の名はコカコーラ。時は1983年4月23日。この日を期してコカコーラ社は99年の歴史の中で初めて看板商品であるコカコーラの味を変えました。その背景には、同社の強烈なライバルであるペプシコーラによる、”ペプシチャレンジ”という味覚テストにおける敗北がありました。コークとペプシを二つ並べて目隠しの状態で消費者に飲ませたところ圧倒的にペプシが勝ったという、コカコーラ社にとっては屈辱的な許し難い判決でした。そこでコカコーラ社は何と19万人を対象に4百万ドルをかけて事前調査を行いました。その結果、これならペプシに勝てるという味を開発して大キャンペーンを展開し新しいコークを全米に市場導入したのです。ゴイゼッタ会長は「消費財の歴史上、もっとも大胆な決断」と自画自賛しました。さて結果は?(新・コーク)発売と同時に全米の消費者から一斉に反対の声が沸き起こったのです。1日に8千本の電話や合計4万通のクレームレターが届きました。それだけでなく、デモや署名運動、反対のTシャツ、(新・コーク)を買って下水に流す運動まで行われた、というのですから半端な話ではありません。一方ライバルのペプシは、会社を休みにしてコークの失敗を祝ったといいます。
さてこの話の結末は?3ヶ月後、従来の製品をコカコーラクラシックとして復活、その日だけで1万8千本の喜びの電話が寄せられました。その後(新・コーク)は市場から撤退、コカコーラクラシックは元のままのコカコーラと改名し現在に至っています。一体この失敗物語は、何を教えているのでしょうか?19万人の調査をしてこれなら絶対売れるという新商品を開発したのになぜか?数字の裏付けを伴った論理は完璧であり科学的には絶対であった筈なのになぜ失敗したのか?何が足りなかったのか?
コカコーラが見落としたのは、アメリカ人がコカコーラという製品に対して抱いている絶対に拭うことが出来ないセンチメント(感情、感傷)なのです。コカコーラは科学(論理、数字)で勝負をしたが、人間の心という芸術(情理、感情)の側面を全く無視してしまったのです。消費者には頭もあり舌もあるが、同時に心もあるのです。科学という論理を固めても芸術という情理を無視した経営判断では消費者がボイコットするのも当然なのです。
『人は論理により説得され、感情により動く』のです。》よく勉強していきたいと思います。

『素晴らしい未だ見ぬKONOIKEに会う為に今頑張ります。』