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俺は、中小企業のおやじ

 表題は日本経済新聞社発刊の「スズキ株式会社 代表取締役会長兼社長 鈴木修さん」が執筆された本の題名です。
鈴木社長は1930年に岐阜県下呂市に生まれ中央大学卒業後、銀行勤務を経て1958年鈴木自動車工業(現スズキ)に入社されました。その後、取締役、常務、専務、を経て78年に社長に就任し、2000年には会長に就任するも2008年には再び社長を兼務し現在に至っていらっしゃいます。徹底して現場にこだわる強いリーダーシップで、社長就任時に売上高3,232億円だったスズキを、30年間で3兆円企業にまで育て上げ、軽自動車トップの地位を固めるとともに、インドやハンガリーでの現地生産、米GMとの提携等を進めました。この本は現在ベストセラーになっている本で皆さんにも是非読んで頂きたい本です。今日はこの本の中から非常に感銘を受けた「あとがき」の部分を途中、中略 しますが、紹介したいと思います。

《 「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」若い方はご存じないかもしれませんが、連合艦隊司令長官だった山本五十六元帥が残したといわれる語録のなかで、私が肝に銘じている名言です。私は敗戦の年の5月に、15歳で海軍甲種飛行予科練習生として宝塚海軍航空隊に入隊しました。山本司令長官はその2年前に戦死されていますし、雲の上の存在です。しかし大日本帝国海軍の端くれとして、氏に畏敬の念を抱き続けていました。ただ山本五十六氏のいう「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ」までは私にもできるのですが、どうしても「ほめてやる」ができないのです。そういう面では古いタイプの経営者なのでしょうか、なかなか直りません。「バカ野郎。できないことの理由探しばかりするな」「もう君には任せておけない」と、ついつい叱責の罵詈雑言が飛び出してしまいます。スズキに入社して50年、社長、会長として30年。これまで「自分が現場に足を運んで決める」「実際に現物を見て判断する」「現実に即して考える」といった現場主義の経営を心掛け、実践するとともに、同じことを役員や従業員に求めてきたつもりですが、ときとして私の思いが届かないことがあります。そのせいか、「ワンマン経営者」と陰口をたたかれることも知っています。 
【中略】ワンマン経営批判ではありませんが、これまで私が問題を指摘し具体的な解決策を指示するケースが多かったのは事実です。しかしそれではダメだ。赤ん坊はお腹がすいたり、おしめが汚れたりすると、すぐに鳴き声でお母さんに訴えます。しかし大人はなかなか泣き声を上げてくれません。大事になってから、悲鳴をあげても遅いのです。難しい問題に直面したら、自分だけで抱え込まずに、上司に相談してほしい。相談を受けた上司が迷ったら、さらにその上の上司に相談してほしい。これを繰り返すことで、組織のコミュニケーションがよくなり、会社の実力がアップすると思います。  社員全員が考え、主張する会社の組織運営は時間的コストがかかるかもしれません。これまでのスズキの特徴だった「即断即決のスピード経営」というよさを阻害するかもしれません。しかし山本五十六氏がいうように「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」です。 
【中略】 この本を執筆しているあいだにも、世界はアメリカのサブプライムローン問題に端を発する金融危機、同時株安などの経済混乱に陥りました。勿論スズキも大きな打撃を受けました。それだけに、のんきに本など出していいものかと悩んだこともありました。しかし、何度も申し上げましたように、スズキは今最大の危機にあるのです。この危機を乗り越えるためには、これまでの会社人生を総括することにやはり意味があると改めて強く感じるようになりました。
【中略】 2009年1月30日、私は79歳になりました。79歳で現役の上場企業経営者は日本に何人いるでしょうか。いやいや、80歳を超えた先輩たちもたくさんいるはず。そう考えると私もまだまだです。ありがたいことに健康に恵まれ、週一回のゴルフ、海外出張のハシゴも苦ではありません。8時間歩き詰めの工場監査の後、サウナに行き、深夜におよぶ宴会もこなせます。働くことが楽しいのです。休んで遊びたいとか、趣味をしたいという気はまったくありません。有給休暇は死んでから嫌というほどとれるのですから。俺は中小企業のおやじ「生涯現役」としてまだまだ走り続けます。 》

 力強い言葉の重みを感じます。私もそろそろいい年だと思っていましたが、比べてみればはるかに若く、少なくとも経営をしている間は、さらに精一杯頑張れという、叱咤激励を行間から頂きました。また大きな勇気を与えて頂きました。今後も皆さんと共に、もっともっとKONOIKEを良い会社にすべく進んでいくことを約束させていただきます。

『素晴らしい未だ見ぬKONOIKEに会う為に今頑張ります。』