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人生を決めるのは偶然か選択か

 表題は先日偶然NHKのEテレを見た時に放送された番組のタイトルです。「白熱教室」海外版の第3弾で、アメリカニューヨークにあるコロンビア大学の授業風景を取材した番組でした。私は興味深く、最後まで結構楽しく見ました。番組内容を紹介したいと思います。
コロンビア大学は、創立1754年、ノーベル賞受賞者97人を輩出、またオバマ大統領など歴代多くのアメリカ大統領が学んだ超名門大学です。この大学で今人気を集めているのが、女性の心理学博士【シーナ・アイエンガー教授】の講義です。【シーナ・アイエンガー】は1969年カナダ・トロント生まれ、両親はインドからの移民で、厳格なシーク教徒です。教授はアメリカに移住した3歳の時、眼の病気を患い、高校に上がる頃には視力を失いました。シーク教の厳格な教義に従って育てられて来ましたが、アメリカの教育を受ける中で、「自分で選ぶこと」こそ、アメリカの力であると思い至り「選択」を研究テーマにすることを思い立ちました。この講義は病気で盲目になった彼女が「選択」の余地がなかった自分の運命から、どんな境遇にあっても、自分の「選択」によって道は切り開けると信じた彼女の物語でもあります。
 動物園の動物は、たっぷり餌を与えられているのに、野生の動物に比べてなぜ寿命が短いのか? スティーブ・ジョブスは、人生においてどんな「選択」をすることで世界を変えたのか? 24種類のジャムを売り場に並べた時と、6種類のジャムを並べた場合を比較すると前者の売上は10分の1しかなかった。なぜそんなことが起こるのか? 
 アイエンガー教授は、学生たちに「あなたならどちらを選ぶ?なぜ?」と投げかけながら自分で「選択」することの難しさと意味を問いかけます。この講義はこれから人生を切り開いて行く若者達にとって大きな指針を示すとともに、ビジネスの場における実践力をも養っています。圧倒的に不利な環境の中でも、自分の選択によって人生を切り開いて来た教授のメッセージ「選択は力なり」は何事も自分で決めたがらない私達日本人に強烈な示唆を与えています。以下に教授の教えをかいつまんでお伝えします。
 なぜおおくの新商品は売れないのか?理由は簡単。新商品を作っている間、その商品の良い面ばかりを見ているから。新婚の時も、結婚相手の良い面ばかりを見てしまう。そうしないと結婚に踏み切れないから。私達は、目の前にあるものの良い面ばかりを見てしまう。過信してしまう。
 何かを買う時、選択の幅は広ければ広いほどよい、とされてきたビジネスの常識を覆したのがジャムの実験である。試食コーナーに24種類のジャムと6種類のジャムを並べた場合、売り上げは6種類のほうが10倍もあったというのだ。人間は選択肢の数があまりにも多くなると選ぶこと自体を止めてしまう傾向があるとした。
 私達に「選択」をさせない場合どうなるか。ある人に最高のリーゾート気分を満喫させてあげたとしよう。最高のホテルで食事も世界中のグルメが食べ放題。部屋は超デラックスのスィートクラス。プライベートビーチに、エステも最高。何日いても最高のおもてなしが続く。欠点はただ一つ。チェックインしたら二度とチェックアウト出来ない。ようするに好きなように出来ないのだ。この好きなように出来ないこと、これが「選択」出来ない時の人間の楽しくも面白くもない姿なのだ。
 イラク戦争の開戦前。ペンタゴンは大規模な軍事演習を行った。アメリカ陸軍と仮想敵国の戦闘シミュレーション。アメリカ軍は理性的分析を利用したが、仮想敵国の司令官となったバン・ライパーは相手の出方を見て想像力を駆使して状況変化に対応した。結果ライパーはこの戦いに勝った。ライパーが持っていたものは、情報に基づく直感と豊富な経験に基づく直感。情報に基づく直感とは、何度も経験したことで身に着く経験的知識。直感と理性の中間にあるもの。仏教の中道の教えのようなもの。情報に基づく直感を育成するには、経験が必要。何度も繰り返すことで、情報を分類し整理する能力が身に着く。練習だけでなく、成功要因、失敗要因のフィードバックが必要。失敗したら別の方法を試すという実験も必要。
 教授の授業風景の番組はまだ続いています。興味のある方は見て下さい。次回は3月4日(日)の午後6時からNHKのEテレで放送されます。
 人が人として、生き生き、と活躍するためには、自分が「選択」出来るという機会が多いほど高揚して行くものでしょう。私達はもっともっと勉強しなければなりませんね。

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